第8位 LZOS Jupiter-9 85mm F2.0 (M42)

第8位はプアマンズ ゾナーとしてあまりにも有名なレンズLZOS Jupiter-9です。
僕の持っているJupiter-9は前期型と呼ばれるマルチコート化されていない古い時代のものです。
それでなくても逆光に弱いロシアレンズ(オマケに大口径で前玉が大きい)でさらにマルチコート化されていないこのレンズは、逆光でなくても明るい画面ではフレア気味になりコントラストが落ちます。

開放ではわずかに甘いですが少し絞るととてもシャープな写りになります。特に前玉に光源が入らない状態ではかなりしっかりした描写になります。
Jupiter-9の評価は様々で「全くピントが合わない」という評価も目にしますが僕の持っている個体は全くそんなことはありません。むしろ条件によっては逆に硬すぎで花弁が造花っぽく見えてしまうことがあるくらいです。

旧東側製のレンズは製作年代が新しくなるほど品質が不安定になるようで、Jupiter-9も古いものほど造りは良いようです。このJupiter-9も造りの良さは古い国産レンズと比べても遜色なく、ヘリコイドの動作は極めてスムーズで鏡筒のガタつきも一切ありません。文字の彫り込みもシャープで細く、旋盤加工の状態もとても綺麗です。
訂正: ヘリコイドの動作ですが、ガタつき無しと書きましたが正確な表現ではありません。一杯に回しきって反転させるさい、少しカクンと遊びを感じます。訂正とお詫びをさせて頂きます。
あと、このレンズのヘリコイドの動作についてですが、レンズ単体でマウント側にキャップをきっちりと閉め込んだ状態ではスムーズに動きません、キャップを緩めるか外すとスムーズに動きます。
最初は何故そういうことが起こるのか理解出来なかったのですが、どうやらヘリコイドから後ろの機密性が良すぎてキャップをきっちり閉め込むと鏡筒内の空気がスムーズに移動できず空気圧で重くなるようです。カメラに取り付けた状態ではミラーボックスはそんなに機密性が高くないようで問題なく動作します。
造りが良いのやら悪いのやら・・・不思議な事の多いレンズです。
F2.0開放のボケはとても柔らかくPentaxのTAKUMARシリーズにも引けを取りません。
また、このレンズの絞り羽根は15枚と非常に多く、絞っても瞳は綺麗な円形を保ちます。
この絞り形状のおかげで背景に点光源があるような場面で絞っても綺麗な玉ボケを得ることが出来ます。

開放で甘めになる具合も、ねこの毛の柔らかさを上手く感じさせてくれます。



見方によっては欠点の多い困りもののレンズですが、僕にとってこのレンズも手放せないレンズの1本です。